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時松辰夫
アトリエとき代表
取材日:04/11/29  東北工業大学にて
インタビュアー:齋藤 州一

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──そのころには非円形ろくろ
  というのはあったんですか?



ありました。
非円形っていうのは一回転するときに
回転のぶれを2回にすれば楕円になっちゃうんだね。
3回にすれば三角になって、
4回にすれば四角になるわけね。

どうやってぶれさせるかっていうとね。
車のギアのように回転を直線で伝えるときに
ギアで伝えるわけね。
普通直線っていうのはまっすぐじゃない?
ところがギアっていうのはそこで折れるわけ。
同じ回転をしているんだけど
折れて回転してるわけね。

振るわけよ芯を。変芯することによって
今までにない非円形のろくろを
発明した人がいたんだね。
中野さんっていう技師がね。

で非円形ろくろっていうのは難しいの。
円形は回転してるところを
どこ削ってもいいじゃない?

非円形ろくろっていうのは一回転するときに
変芯する交点しか削れない。
回転するときにどこか集約した重なる点が一つある。
それは目では見えないの、回転してるから。
見えないところを刃物で確認して、
そこで削っているわけね。
それは見えないから手加減で削るんだよ。


──それは職人技ですね。
  今はもう非円形ろくろはないんですか?



今はもう非円形ろくろではなくて
ルータマシンっていう機械に変わってる。
ルータマシンっていうのは刃物が回転してて、
材料を自由に動かすわけね。
ルータマシンは自由なものが作れる。


──今では自由に作れますが、昔は大変だったんですね。


昔の人はいろいろ考えて、いろいろ工夫した。
それだけに100も200も技を持っていた。
その100も200も技を持っていたのが百姓ね。
百の技を持っている民という意味。

今の人はどれだけ技を持っているかっていうと、
スーパーでおにぎり買って食べるしか技はないわけ。
それかゲートボールをするしか技はないわけ。

だから地域問題は難しいわけよね。
みんなが技を持っていれば
合併なんかしなくてもいいわけよ。
それぞれ地域固有の特産品や文化を創れる。
住んでる人が文化を創りだす。

ところが住んでる人が技術や技を持ってないから
画一的になっているんだね。
だからやっぱり暮らしの技がいかに大切か。

生産の技はまあ分かるわね。
だけど暮らしの技っていうのは
差が見えてこないじゃない?
その地域の背景、慣習、習慣、人のつながり、
味、風景とかそういうのがみんな関わってくるから。
もう物理的じゃないの。
人間同士の心情的なところで手を携え合って
いい社会を作っているわけ。

それがいわゆる今の京都とか金沢の
伝統的なスタイルだ。
あれは古いんじゃないの。
非常にみんなが工夫し合って、知恵を絞って
大事なことはみんなで結び合って
っていうことでしょう。
今の核家族とは反対だよね。

工業がダメっていうんではなくて、
工業でなければ絶対作れない世界がある。
だけどもロボットや工場では作れないものが
地域にはあるんだよね。


──確かに便利な世の中になるほど地域の個性って
  薄くなってきてますよね。
  私達の地域について、
  もう一度考え直してみようと思います。
  今回はお忙しい中ありがとうございました。



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